なぜ若者は..
何冊も同時平行に読んでると結構読み終わるのに時間がかかる。(笑)
若者はなぜ3年で辞めるのか? 年功序列が奪う日本の未来 (光文社新書)
- 作者: 城繁幸
- 出版社/メーカー: 光文社
- 発売日: 2006/09/15
- メディア: 新書
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何点か思うことをつらつら。
おおかた、なっとくできる内容だった。
だけど、まず昭和的価値観というのに引っかかった。 昭和的という限定されたネーミングにまっさきに違和感を感じた。 どうも権威というものの2面性を1面からしかとらえていないという気がした。
ただし、言いたいことをつたえるための限定としてはうまくいっていると思う。
権威というものへの希求は昭和に始まったことではないし、ましてや日本だけではないと言う点。 支配のための権威と、実力としての権威という2面性を無視しているという点の2点。
年功序列の制度からうまれていくる、制度としての権威と実力からおのずとうまれてくる権威が一致している場合問題はないんですが、制度でしか権威を持ち得ない実力なしの人が多いという論旨。
このとき欠けていると感じるのは、実力がある若者を持ち上げすぎているような気がする。 時間をかけた洗練でしかなしえない実力+権威もあるはずだと思う。
もう一つ引っかかったのは、ではどうすればいいの、どうあるべきなのという考察がうすいことだった。 否定的でポジティブな側面はとても少ないように感じたんです。
関心したのはこの点。
外国人労働者の移民を受け入れるという点に関して。
たしかに、彼らは低賃金でも、そして将来に希望がなくても、文句一つ言わずに働いてくれるだろう。....(中略) だが、彼らもまた人間だ。そんな便利な羊で居てくれるのは一代限り。日本で生まれ育ったその子供たちは、当然のようにそれぞれの動機を求め、レールから降りるに違いない。
外国人労働者がすごい勢いで増えている現実から、いままでのように派遣業的な技術レベルの比較的低いビジネスはたち行かなくなると何年も前から問題提起していたんだけども、ここでは外国人労働者だってだまってないよという、さらに先の論評になっている点が痛快である。
さて「昭和的価値観」を維持するために、そのときリヴァイアサンは何をするんだろう。
もう一つ。
彼ら、”転職後悔組”に共通するのは、彼らが転職によって期待したものが、あくまでも「組織から与えられる役割」である点だ。言葉を換えるなら、「もっとマシな義務を与えてくれ」ということになる。動機の根源が内部ではなく外部に存在するという点で、彼らは狼たちとは決定的にことなるのだ。
環境や相手次第だったら、うまくいかないということだと思う。 たとえうまくいったとしても、レベルの差こそあれ、どこか根本的な危険をはらみつつであることにはかわりないように思う。 それを知っていてあえて戦略としてそのリスクをとる選択はありだとは思う。